1月5日(日) 晴れのち曇りのち雪

 

<プロローグ>

1年で一番寒い季節がやってきた。しかし、僕の未来はとても暖かい。

高校卒業まで、あと3ヶ月。楽しかった高校生活が終わってしまうのは残念だが、就職もすでに決定しており、

新しい生活への期待も大きく膨らむ。僕は将来ビックな漫才師になるのだ。そのために吉本珍喜劇への就職が決定していた。

内定への道は非常に厳しく険しいものであった。さぁ、引越しの準備を始めよう!

と、その時、家のインターホンが鳴り響いた。

 「吉田さ〜ん、郵便です。」

はいはい、面倒くさいなあ。玄関まで出向き郵便物を受取った。

吉田家に届けられたものは1通のハガキであった。

それは頑丈に包装されており、角から1枚めくらなくては中身が見れないという恐ろしいタイプのハガキであった。

おそるおそる角に指先を付けてめくってみる。

……ん!?何だ?親父の国家試験の不合格通知か?ん?川浜高校校長から?

まさか……ハガキで伝えられていたのは、僕の留年決定だった。

 留年…。そんなバカな!?何故なんだ。

算数も国語も道徳も図工も理科も完璧だったのに。。

気が狂いそうだ。珍喜劇への内定は取り消さなくてはならなくなってしまったのだ。漫才師の夢が。。

この留年を前向きにとらえなくてはいけない。みんなで花園を目指して汗を流した日々が脳裏に蘇ってきた。

そうだ!またみんなとラグビー、いやバドミントンができるじゃないか!挫折感はもうない!バド愛がこみあげてきた。

しかし、それを知った両親は気絶。父からはビンタを大量にいただき、母はショックのあまり高熱で寝こんでしまった。

いけない息子である。必死に看病した。寝ることも食べることもせず。そしたら風邪がうつってしまったのだ。

 寝正月・・。

これほど響きの良い言葉はありません。 駅伝にラグビーにサッカー、寝正月には欠かせないアイテムだ。

ラグビーの舞台は、もちろん「花園」。

スクールウォーズにて輝かしい雄姿を見せたあの伏見工業はベスト4で姿を消した。。残念。

来る日も来る日もスポーツ観戦にあけくれた。あるときふと我にかえり時計を見てみる。

時計の針は1月3日をさしていた。6日間もあけくれていたのだ。

僕は跳び起きた。こうしちゃいられない。フットボールショップへ直行。

行きつけのショップ3店を流れるようなドリブルでまわっていく。

気付くとACミランのジャージを試着していた。僕はミランに完全移籍することを決意した。

ミランは僕を必要としているのだ。

人に必要とされる、これほど生きてることを実感できるときはない。

アンチェロッティ監督は人を見る目が長けているようだ。僕はすぐさま成田から飛び立ち、ミラン入りした。

数えるほどしかいない報道陣を得意のフェイントでかわして、タクシーに乗り込む。

 さぁ、新しい闘いが始まったのだ。

失敗を恐れてはいけない。失敗することでしか見つからないものがきっとそこにはある。

 

<第6回 嵐の新学期>

「この物語はある学園の荒廃に戦いを挑んだひとりの生徒の記録である。 

 バドミントン界において全く無名の弱体チームがこの生徒を迎えた日から 

 わずか数年にして全国優勝を成し遂げた奇跡を通じて 

 その原動力となった愛と信頼を余すところなく活字化したものである 」  

 

新しいジャージを身にまとい、新しいラキッツを握りしめ、気持ちも新たに出発進行。

珍しく、たった10分の遅刻で道場入り。みんなの目が点になる。。

そりゃそうだ、卒業したはずの男が平然と道場に現れたのだから。といいたいが、誰も僕の参上なんか気付いてくれない。

しかし、懐かしい面々である。

病み上がりの僕はどうも動きに切れがない。バシ先生に久々に指導していただき、お褒めの言葉を頂戴する。

その後は児三郎とペアを組み、次々と敵を撃退していく。病み上がりの僕はどうも言葉にも切れがない。

というか、光男と児三郎の成長がすごい。おちおちしていると追いつかれてしまう。

 え?もうとっくに追いつかれているって? 失敬な。

切れの戻った僕は誰にも止められない。人の何倍ものみこみの悪い僕はやはり人の何倍も努力をしなければならない。

バドも然り。このままでは確かに差は開く一方であろう。だからこそ努力するんだ。

毎度しつこいようだが、バド愛だけは誰にも負けない。高校の卒業アルバムに僕はこう書いた。

「生きること、それは日々を告白してゆくことだろう」・・寒すぎる。凍りつきそうだ。

あの頃は今以上に狂っていたようだ。僕はいつも紙とペンを持ち歩いている。

思い浮かんだ言葉たちをホットなまま書き残しておくためだ。移籍金は発生しない。

世界のさまざまなビッグクラブチームからオファーがあった。その中からミランをチョイスしたのだ。

結局、本日は最後までエンジンはかからず終了。

 「今日はなんだか元気がなかったぞ」 と、てつ先生。

「移動による時差ぼけです。」僕は即答した。この後、記者会見が待っている。チームに合流して初めての練習。

なんだか雲行きがあやしい。一雪きそうな寒さだ。花崎こず代家にて雪やどりをすることが確定した。

今日も新メンバーが合流。しかも、僕と同じ歳なのだ。ちょっとうれしい。

ミランの首位キープは、新加入の僕らのプレーにかかっているといっても過言ではない。

花崎家にて、おやつをつつく。僕はそこで学生時代の過ちを女性達に暴露した。

僕は一日一本「小倉&ネオマーガリン」を口にする。大好きなのだ。人生はったり言いまくってこれからも進んでいきたい。

はったりをはったりじゃなくすためにいつだって走りつづけていたい。2003年も一生思い返せるそんな年にしてみせる。

「夢はどんどん口に出さなきゃいけないんだよ。」といつかに恋した女性は僕と会うたびにそう言った。

でも僕は男だ。男だからこそ慎重になる。男だからこそ諦めなくてはならないことが山ほどある。

でも、そんなクソ食らえな定義はやぶることにする。ミランに移籍することで1つ夢がかなった。

でも、次なる夢をすぐに設定しなくてはいけない。スタメン出場だ。

がむしゃらに練習に取り組まねば、スタメンはほど遠いだろう。

がむしゃらの中にも愛がある。愛があるところにはドラマが生まれる。ドラマには主役が必要だ。その主役になってみせる。

コーヒー&お茶をおいしくいただき、僕達は花崎家から腰を上げた。正月休みもいよいよクライマックスだ。

アドレナリンも過剰に分泌する。このままおとなしく帰宅できるだろうか?いや、できるわけがない。

 

 僕は帰りのコースを設定した。ビデオレンタルコースだ。

しかも普段なかなか足を踏み入れることのない地域まで侵入を試みた。気付いたら津島の方にいた。

雪がどんどん激しくなる。視界が遮られ、ワイパーも意味をなさず、ミランのジャージだけがただただ僕のハートを暖めた。

ふと、視界に「ビデオ試写室」の看板が入った。僕は躊躇することなく駐車。1時間ほど試写。

自宅とは違った空間でのエクスタシーをエンジョイした後、別のレンタルへ出発した。今度は西春だ。

途中で小池栄子似のお気に入りの店員のいるマックでドライブスルー。僕は栄子の瞳に吸い込まれた。

必要以上に注文を繰返し、栄子の気を引こうとする。

そんな僕の気持ちとはうらはらに栄子はたんたんと注文の品をそろえ、会計を進めようとする。

このままでは、会計がスタートしてしまい、お金を手渡して終了となってしまう。

僕は栄子をゲットするために一つの大きな賭けに出た。

 ボディトークだ。

肌と肌のふれあいによる親密度アップが狙いである。
僕は可能な限り小銭での精算を試みた。小銭を確認の意味を込めて一枚ずつ栄子に手渡した。
その度に栄子のきめ細かいふくよかで柔らかい手のひらに僕の指先が触れる。
栄子も緊張しているのだろう。かすかに手のひらに汗をかいている。その汗で僕の指先が潤う。
たまらず、札を数えるふりを行うべく滑り止めのために濡れた指先を舌先で転がした。
少々しょっぱいが栄子の汗と思うだけでドキドキする。栄子も少しずつではあるが気をゆるしてきているのであろうか、
濡れた手のひらを全く拭おうともしない。小銭を全て手渡した時には、栄子の手のひらは汗ぐっしょり。
よほど興奮したのだろう。僕は用意しておいた手ぬぐいをそっと差し出した。
 僕:  「良かったら使ってください」
 栄子:「え?!いいんですか?どうもありがとうございます。
     まだ始めたばかりの仕事でどうしても緊張してしまうんです。遠慮なく使わせていただきます」
と、その時、手ぬぐいに見られてはまずい愛の刺繍があることを思い出した。
しかし、時すでに遅し、栄子は赤面している。
手ぬぐいには『栄子命』と書かれていた。告白してしまった。
僕は後ろに次の車が待っていないことを確認して車から降り、すぐに栄子の前に立った。さすがに外は冷える。
振り出したはずの雪は何故か今はやんでいる。久しぶりに自分の高鳴る鼓動が伝わってくる。
僕も栄子以上に緊張しているようだ。次の瞬間、僕はそっと栄子の右手を握った。両手でしっかりと。
胸の高鳴りが果たして栄子まで届いているだろうか。
栄子も嫌がる素振りを見せるどころか、空いている左手をそっと握っている僕の手に添えたのだ。温かい手だ。
マックのレジの前だけ時間が止まった。僕は栄子を見つめる。栄子はもう両目を閉じて準備万全のようだ。
長くて綺麗なまつ毛がとても愛らしい。吐息が荒くなる。僕は用意しておいたリップをさっと取り出し上唇に丹念に塗りこむ。
その後、下唇にも塗りこむ。さらに吐息が荒くなる。そして目を閉じる。栄子の唇にゆっくりと潤った唇を近づける。
…… 唇と唇が触れ合う。あっ!柔らかい・・。握っていた両手を離して、栄子を抱きしめる。
栄子もそのまま僕に身をまかせた、、と思ったその瞬間、
栄子は両手で僕の頭部をしっかりと固定して封印していたはずの舌先を僕の舌先に絡めてきた。
驚いた僕は一瞬舌を引いてしまったが、栄子の舌はどこまでも絡みついてくる。
 「あなたが好き。もう絶対に離さないから。ずっと一緒だよ。いっぱいいっぱい愛してあげる。」
それは栄子の凄まじい攻撃のほんの序章にすぎなかった。気付くと栄子の上半身は下着だけになっていた。
栄子はその豊満な乳房を今度は僕の顔面に押し付けてくる。僕は幸せに包まれた。
僕の繊細なハートは栄子のはちきれんばかりの胸にブレイクされた。
しかし、それは栄子の凄まじい攻撃のほんの序章にすぎなかった。攻撃は割愛。

これだけの『妄想』を会計しているたった1分間のうちに実現できた僕は間違いなく官能小説家タイプであろう。

ミランでも通用するのは確実だ。(※栄子は西春のマックに実在する人物である)

栄子との僅かな一時を終えた僕は西春のビデオ合衆国USVを目指して再び出発した。

そこでは栄子似の女優が出演しているビデオを模索し、レンタル終了。時計を見ると23時。。

もうこんな時間か。家に帰ってビデオ見よう!さぁ、2003年は始まったばかりだ。

 どんな年にしてやろう?ドキドキするぜ。

まずはバーゲン行ってバドやって、映画見てバドやって、

今年は去年以上にがむしゃらにバドという1つのスポーツに挑戦していきたいと思っています。

皆様、意味不明な日記となってしまいましたが、今年も宜しくお願いいたします。

 

では、最後に私の宝物の詩の中から1つ大好きなものを紹介して新年の挨拶とさせていただきます。

 

三ツ星さん

私の好きな三ツ星さん 私はいつも元気です

いつでも私を見て下さい 私は諸君に見られても

はずかしくない生活を 力いっぱいやりまする

私の好きなカシオペア 私は諸君が大すきだ

いつでも三人きっちりと ならんですすむ星さんよ

生きることはたのしいね ほんとに私は生きている

               (故 竹内浩三 『三ツ星さん』/23歳で戦死)

 

第7回へ続く

 

以上、バドミントン日記に戻る

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