1月25日(土) 晴れ(極寒)

 

 <プロローグ>

 僕は毛深い。

人一倍ナイーブな僕のとって大きな悩みの1つだ。

ちょっと気を抜くと、もみあげ→顎→首→胸→乳→脇→腹→恥部→腿→脛の毛たちが一体化するのだ。

処理するのに莫大な時間と労力を要する。

貴乃花引退。人一倍涙もろい僕はどうしても泪をこらえることができなかった。

しかし、どんなに辛くてもいつも盛の笑顔に救われる。

 皆さんは最近いつ泣きましたか?

それは悲しくて泣いたのですか?それともうれしくて泣いたのですか?悲しいときは笑いましょう。うれしいときは涙しましょう。

 さてさて、本日は花崎こず代家にてお食事会の予定。そこで、僕の頭はお酒で一杯になった。

お酒を飲むためには車では行けない。しかし、車で行かないと大量のバドセットをかかえながら

ミランのジャージを身にまとい、公道をドリブルしなくてはいけないのだ。

しかし、お酒の誘惑にはかなわない。いつもドリブルだから今日くらいは歩いて行こう。

僕の華麗なウォーキングは周囲の観客を魅了した。しかし僕にはいけない癖がある。

ウォーキングするとき、いつも下を見てしまうのだ。何故、前を向いて歩みを進めていけないのだろう。

やっぱり自信がないからだろうか。自分に自信があれば、めいっぱい前を向いて歩いていけるはずである。

でも、違うのだ。僕は糞を過って踏みつけるのをどうしても避けたいんだ。だからどうしても下を見てしまう。

だから100%ディフェンス可能だ。でも、下を見るということは先が全く見えないということ。

いつだって先を考えれる人間でありたい僕の考えとは矛盾してしまう。先日、ある友人と並んで歩いていたときのことだ。

その友人は全くと言っていいほど下を見ないのだ。真っ直ぐ正面を見つめている。

おそらく彼の目には何十年も先の自分が映っているのだろう。堂々としている。ふと彼の足元を拝見する。

なんと、彼は糞を踏みまくっていた。固いのから柔らかいのまで、全タイプを網羅していた。靴が可哀想だ。

でも彼は全く気にしていない。

 おかしい。。

汚くてダサイはずの彼がとってもかっこよく僕には見えたのだ。

僕は自分を見つめなおした。今はまだ椅子に腰掛けたくない。今、腰掛けると二度と立てなくなってしまいそうだから。

僕の椅子はまだまだ先に用意してあるんだ。僕は名鉄小牧線に乗り込んだ。

その時、激しいストライドで歩いて呼吸が乱れていたためか、僕の吐息がケニア風のおばちゃんの顔面にヒットした。

彼女は激しく咳き込み、やがてその場にしゃがみこんだ。なにやら僕に対して文句を言っているようだが、言葉がわからない。

昨晩、にんにくを食べたせいだろうか。まあいい。それほど車両は混んではいないのだが、相当運がわるかったようだ。

その時、僕のことを熱心に見つめる少年がいた。少年の目が充血するほどに。すぐに少年は僕の目の前までやってきた。

 「ルイコスタさん、サイン下さい。」

なんと、俺のことをルイコスタと間違えているではないか。どうやら僕の顎のラインとヒゲの具合に騙されたらしい。

僕は少年の思いを壊すことができず、コスタになりきった。その時、栄子を思った。何をしているのだろう。

と、その時、ラキッツを自宅に放置してきた事実が発覚。この時点で遅刻確定。

商売道具を忘れるなんて、どうかしてるぞ。もしかしたら僕はバドを愛していないんじゃ・・。

そんなはずはない。すぐさま帰宅。高速を使うしかない!

僕は高速にのるための小銭を握りしめ、自家用車で青年の家に向かう。

<長いプロローグだがもう少し付き合っていただきたい。>

僕はごくまれに変態と言われる。変態とはいったい何を基準にして言っているのだろう。

先日、友人でありお笑いコンビでもある「シホ☆&☆アキ」(友情出演)たちと鍋パーティーをやったときの話だ。

彼女たちが自分たちのコンビ名の☆の由来が「つのだ☆ひろ」さんだったことを打ち明けてくれている最中に、

僕がごく自然なモーションで歯糞(歯茎とほっぺの内壁に挟まった食べ残しのカス)を指先でとり、

再びそのカスたちをおいしくいただいている行為を見られてしまったようなのだ。

その直後、彼女たちは僕のことを「変態」と呼び始めたのだ。

 そんな馬鹿な!僕は変態なのだろうか?

変態というのは人を不快にさせる行為を躊躇せずダイナミックかつパワフルに人前で出してしまうことなのだろうか?

つまり人の気持ちを理解できていない僕はまだまだ子供なのだろうか?きっとそうなのだろう。

いったい大人になるってどういうことなのだろう?僕はまだまだ成長しなくてはいけない。

成長するのはバドだけではない。人間としても成長せねばならないのだ。

バドを頑張ることできっと人間としても脱皮できるはずだ。いつの日か常人になってみせる。

そして「シホ☆と☆アキ」またパーティーやりましょう。進化した僕が見れるはずだ。

<そろそろ、うざくなってきたでしょうがもう少し我慢していただきたい。>

 人間観察。

人一倍観察力に長けている僕は街行く人を舐めまわすように観察してしまう癖がある。

ちょっと気を抜くと、人通りの激しい通りに並ぶ喫茶店に足を運び、日夜、歩んでゆく老若男女を観察しているのだ。

髪型だけでなく髪質までも、化粧の仕方だけでなくシワやシミの具合を含めた肌年齢までも、

身に付けた衣装だけでなく裸体までも、歩き方だけでなく歩き方から推測するウェイトかつスリーサイズまでも、

じっくりと観察後、観察ノートに詳細を記してゆく。その行為は店の外だけでなく店内にまでもおよぶ。

そして観察結果による判定が基準値以上に達する人間が現れると、すごい勢いで通うのだ。

そして2次試験までも合格する逸材が出てきたら、僕は紙とペンを握り、ありったけの思いを綴る。

そして納得のゆくものが完成したとき声をかけるのだ。そして文を手渡す。

こんな出会いも素敵でしょう?気持ち悪い?これこそ変態?みなさんも人間観察いかかでしょう?

 さぁ、今日も観察にバドに頑張るぞ!

 

<第7回:勇気なき者は去れ >

「この物語はある学園の荒廃に戦いを挑んだひとりの生徒の記録である。

 バドミントン界において全く無名の弱体チームがこの生徒を迎えた日から

 わずか数年にして全国優勝を成し遂げた奇跡を通じて

 その原動力となった愛と信頼を余すところなく活字化したものである 」 

 

30人以上のバドメンバーに驚愕。

なんという人数の多さだ。しかもたった20分遅刻しただけなのに、みんなアップをがつがつしている。

しかし今日は初心者がとっても多いようだ。さっとアップをすませて試合に出場。

初心者と中級者を混ぜてペアを作り、順番に試合をしてゆく。

いつも必ず1つは技術を身に付けて帰宅するのだが、本日はとんでもない大きな大きなテクニックをてつ先生から学んだ。

どうやらてつ先生もこの事実を知って間もないらしい。その技術とは、

 バド=アーチェリー。

ラキッツを振りかぶる様は、まさにアーチェリーだと言うのだ。シャトルが飛んできたら、

肘が手首より後ろになるように手首は内側に絞りながら、弓を引くように準備する。

そして狙いが定まったら、指の力を緩めるだけでラキッツを下に落とす。そしてシャトル目掛けてフルスウィング!

ということである。僕はがむしゃらに練習を繰り返した。途中、まじで手首をひねった。痛い。僕はケガに強い男だ。

おそらく誰も僕が手首をひねったことには気付かなかっただろう。というか誰も僕の手首なんか興味なかっただろう。

最近、僕のことを輝いてるね、って言ってくれる人が多い。

 何故だろう?

明確な目標があり、毎日が充実しているからだろうか?いやそれだけじゃないはずだ。

とにかく今はすごく自分に自信が持てるんだ。糞だって踏みまくりだ。自信があると何かを始める勇気が湧いてくる。

と、その時、不敵な面構えをした男性がいつのまにか僕の目の前に立っているではないか。

なんとその男は相模第一高等学校バドミントン部監督のエレジー勝又だった。

彼は、こう言い放った。

 「けっ、お前は大きな勘違いをしているぞ。輝いている?

  そんなの表面だけじゃねーか。勇気が湧いてくる?

  そんなちっぽけな勇気は勇気じゃねーよ。馬鹿じゃないの。 

  おめえみたいな奴はバドやめろ!うぜぇ。」

そのまま彼は去っていった。なんて言われ様だ。

絶対ゆるさん!近い内に別の形でリベンジしてやる!くそったれ!

 

怒りが頂点に達したその時、日記帳の次のページがふと目に入った…

 

じ し そ さ 花 お カ う と あ と 手 ふ あ   『カ』
ぶ ん ん い に ま よ え あ る あ に と る
ん だ な て   え   き る   る し
で   に い な は   ば   ぎ   た あ ひ
  じ   る っ     ち か ょ ペ   る と
と ぶ か   て そ   に つ う | ほ ひ が
む ん す     こ     じ の ジ ん
ら を か     で   し を   を の
っ   な         て
て               ひ   ひ
:   と           と   ら
    こ           つ   く
    ろ               と
    で

 

                                        (まど・みちお『動物のうた』より)

 

第8回へ続く

 

以上、バドミントン日記に戻る

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