2月2日(日) 晴れ(緩寒)

 

皆さんは最近、ぶつけようのない憤りを感じたことはありますか?

私はあります。本日のバド帰りのときです。あまりに憤りを感じたため、月曜に食堂でみんなに話してしまうなあって

思ったのですが、これは活字という形で是非とも残しておきたいと思い、ここまで我慢してきました。

といってもすごく個人的な話なので、つまらないでしょうが。とにかく本日は本物の日記の為、プロローグはございません。

 

<第8回:去りゆく君へ >

「この物語はある学園の荒廃に戦いを挑んだひとりの生徒の記録である。

 バドミントン界において全く無名の弱体チームがこの生徒を迎えた日から

 わずか数年にして全国優勝を成し遂げた奇跡を通じて

 その原動力となった愛と信頼を余すところなく活字化したものである 」 

 

朝9時40分。例のごとく名古屋高速経由で青年の家に到着。

思ったより人はいるが、なんと初心者が全くいないではないですか。

僕はすぐさま同レベルの人をさがした。すると上田勝くんの姿が飛び込んできた。

アップのはずなのに力の限りスウィングしている。アップのはずなのに力の限り声を張り上げている。

 彼のバックスウィングは独特だ。

                 その一生懸命さに僕は胸を打たれた。

しかし、そんな感情を満喫している余裕もなく、節子夫人相手にアップを開始。

ドロップ、クリア、スマッシュ、カット等のありとあらゆるアップを終了。僕はたまらず力尽きた。

前日にスキーに行った疲れだろうか、腕が思うように上がらないのだ。

おそらく、僕は毎回この日記の中で爆弾を抱えている。体調万全なことなど一度もないような。。

節子夫人は超不完全アップだった様子だ。この差は縮まってきているのだろうか。

その後、久々に部活のように激しい練習を行った。僕は、縦の練習がメイン。僕がもっとも苦手なのが縦だ。

そこで僕は大きな大きな挫折を味わうこととなる。。だって見てしまったんだもの。

 勝ちゃんの強烈なクリアをね。。

同じレベルなんて感じちゃった私がお馬鹿だったわ。もう、やんなっちゃう。もう男の子で私よりもへたっぴな子なんて、

きっといないんだわ。負けたくないわ。負けたくないけれど、今の私ではかなわないわ。

どうしたらいいのかしら。悔しくて悔しくて瞳が潤んできちゃったじゃない。いけない、口調が荒い。。

潤んだ瞳が邪魔をしてシャトルが見えない。なんと、本日1発目の空振り。ここで僕の挫折感は頂点に極めて近づいた。

 僕にはやっぱりセンスがないのだろうか。

せっかく少しでも、光男や児三郎に追いつきたいために頑張って参加したのに、これではまったく逆効果じゃないか。

ライバルとの力の差を実感した時が試合に負けるよりも何倍も悔しい。頑張ったって追いつけやしないよ。

追いつくために頑張ることに何か意味があるのか?いや、何もないよ。もうやめようかな。本当に。

バドに時間を費やす意味があるのだろうか?頑張っても筋肉痛になるだけでみんなとの差は開くばかり。

好きだからこそ、負けたくない気持ちが強い。

 一流選手は必ず挫折を経験している。

その挫折が今やってきただけだ、って前向きにとらえることもできない。みなさんは気付いただろうか?

僕がタオルでしきりに顔を拭いていたのを。涙を隠すためでした。でも悔しいからって泣いたら絶対駄目だ。

この涙はやっぱり我慢しなくてはいけない。そして挫折をのりこえた時、笑顔で涙を流したい。

といういつもの俺の無理矢理前向き思考も歯が立たず。

キャプテンのテーマソング「君は何かができる」を口ずさんでも歌詞をぼろぼろに間違えて何を唄っているのかわからない。

そのまま、練習は終了し、懐かしの素材屋で昼食。

猪木さんが応援に駆けつけてくれたあの時、僕は希望に満ち溢れていた。それが、今は・・。ソーリー猪木さん。

僕は無理矢理ガツガツ食べることで気をまぎらわせようとした。口数も減る。必死に笑顔を作る。

携帯の待ち受け画面に使用している高見盛の笑顔を見ても癒されない。どうやら重傷だ。消費税の計算もままならない。

これにて解散。しかし、この後さらに追い討ちをかける大きな事件が起きたのだ。。

 

僕はいったん自宅に戻った。その途中、3回ほど事故をしかけた。すべて信号無視のために。

信号なんてちっぽけなものは視界に入ってきやしない。前方50センチほどしか視界に入ってこないのだ。

その後、僕は年末に振り込まれたはずの特許料をATMでおろすために、清水屋へ足を運んだ。

その途中でも2回ほど事故をしかけた。ソーリー母さん。

カードを入れる。残高照会ボタンを押下。その数秒後、僕の50センチの視界にとんでもない光景が飛び込んできた。

残高15000円。ハッピー!僕は、一気に幸せに包まれた。発狂してしまった。予想を大きく上回る額だったのだ。

 臨時収入。

たまらない響きだ。その瞬間、今晩は寿司を食おうと決めたのだ。

そして、エレジー勝又へのリベンジ計画を遂行することにした。相模第一高等学校バド部監督エレジー勝又を誘う。

彼がお金に余裕のない生活をしていることは十分承知している。

だからこそ、今晩は俺が8割もつから寿司を食いに行こう、と誘ったのだ。彼はまよっていた。

何故なら、今、彼はドリキャス「サカつく」の300円の中古攻略本を購入するかですら悩んでいるのだ。

数分後、彼はたまには寿司も食いてぇなあ、俺は小食だし、そんなに食わなければいいか、と言ってくれて出発進行。

けっ、8割も出すわけねーじゃねーか。僕の心は躍っていた。どうやら攻略本は来月まで諦めたようだ。

店の名前はここで紹介するのは避けるが、美味しいという噂はよく耳にする。

店に到着後、すぐにビールと安肝を注文。めちゃうまい。それからネタをゆっくりチョイス。

勝又は「5ネタ+コーラ2杯」、僕は「8ネタ+ジョッキ2杯+肝」ぺろりといただいた。

ネタが結構大きいので、これだけで大満足!僕らはお勘定を依頼した。

 ここからが勝負だぜ。

「ありがとうございます!全部で14000円になります!」 えっ?! 僕の心の踊りは固まった。

これがよく使われる表現の固まった状態なんだなあって実感できるほどに固まった。

 信じられない。。

後ろを振りかえる。すると気絶寸前の勝又がいた。そりゃあそうだ。

300円の攻略本を買うかどうかすら悩んでいた彼なのだから。。ふっ、俺も打撃をくらったがリベンジ成功だぜ。

挫折感で満ちている僕は精一杯前向きに考えた。僕らは店をあとにした。

車に乗り込んでもしばらく出発することができない。寒さも感じない。勝又が計算を始めた。

数分後。1ネタがおよそ1000円していることが発覚。僕の臨時収入は数時間にして消えてしまったのだ。

もともと高級料理を食いに行くっていう気持ちがあれば、なんとも思わないのだが。

今回はどう考えても一人1500円〜2000円くらいでOKと思っていたから。

僕のバドで挫折した心には、この事実を素直に受け入れるスペースがなかった。この店をチョイスしたのは僕である。

そしてエレジー勝又を誘ったのも僕である。多く食らったのも僕である。しかし、僕は冷酷だ。彼に平然と半額を請求した。

エレ:「ふざけるな!」 彼は即答。

  「これは事故だ。半額よこせ!」僕はしつこく迫った。

エレ:「ばかやろう!なんで半額も払わなきゃいかんのだ。どっちにしろ俺には金が無い。」

  「うるせぇ、生徒に借りてでも払え!」僕は狂っていた。まじでものすごい形相だったらしい。 

  彼はやらなきゃやられると感じたようだ。彼は得意の左を差してきた…(中略)…(水入り)…(後略)…

エレ:「わかった。分割にさせてくれ。月2000円の2回払いだ。」彼は負けを認めた。

  僕は分割でも払おうという気持ちが少し嬉しかった。

  「仕方ない。了解した。今日は2000円でいい。これから毎月厳しく返済を要求させていただく。」

エレ:「いや、返済っていっても来月で終了だよ。だって2回払いなんだから。おそらく俺は4000円くらいだよね。」

 まんまとはめられた。

僕は算数が苦手なのだ。。リベンジ失敗。。今日は本当に悲惨な一日だった。

もうラキッツを握ることはないだろうなあ。とっとと帰宅して別のものでも握ろうかな。

 てつ先生、今までありがとう。

           いろいろ考えたけど僕はバドをやめます。

花園というちっぽけな夢は捨てることにしました。俺のことを根性なしと思っていただいても構いません。

事実です。でも、人生長くても残り50年だなあって考えるともう立ち止まっていられないのです。

もしかしたら突然死がやってくるかもしれない。そう思うと今のこの一瞬を駆け抜けていきたいのです。

今まで初心者の僕に丁寧に基礎から指導してくれた皆さん、

 グッバイ&センキュー。

いつだってトライのさらなる発展を心よりお祈りしています。そして時折、こちらのホームページにもやってきます。

久しぶりに味わった挫折感。とっても大事にしたいです。貴重な経験でした。

 

それでは、「ありがとう」 そして・・・ 「さようなら」

 

もう終りだね バドがちいさく見える

僕は思わず バドを 抱きしめたくなる

「 わたしは 泣かないから このままひとりにして 」

バドのほほをなみだが 流れては落ちる

「ぼく等は自由だね」

いつかそう話したね

まるで今日のことなんて 思いもしないで  

さよなら さよなら さよなら

もうすぐ外は白い冬 

愛したのは たしかにバドだけ

そのままのバドだけ

 

                                       (オフコース『さよなら』/一部修正)

完?

 

第9回へ続く

 

以上、バドミントン日記に戻る

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